気ままなブログVol.2『おもいで写眞』
Posted:2021年04月20日(火曜日)
演出小道具として使われている新聞について語ってみる、の第2回。
前回の『大コメ騒動』に続き、今回も全編富山ロケの映画
『おもいで写眞』(2021年公開)をご紹介しましょう。
この映画のあらすじを簡単に説明すると、
祖母の死をキッカケに、東京から故郷の富山に戻ってきた主人公の結子が、
年配の方を対象に遺影用のポートレート撮影のサービスを始めるお話。
(ものすごく端折って書いたけれど、これ以上説明すると
ほぼネタバレになってしまうので…)
映画は全編富山で撮影しているので、富山県民ならば
きっと何回かは「ここ、〇〇の場所じゃない?」と気付くはず。
ちなみに、2005年公開の映画『8月のクリスマス』でも使われた
高岡市内の建物が、この映画にも登場しています。
古い街並み、石畳の道に面した変形区画の角地、という抜群のロケーション。
映画監督ならずとも、ストーリーが浮かんできそうなお家です。
高岡市金屋町の建物。主人公の実家として登場。
ここは、若手工芸作家が中心となって運営するギャラリー兼ショップ
「金属工芸工房 かんか」として今は使われています。
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この映画の中では、 ‘ 新聞紙 ’ が出てくるシーンこそなかったものの、
セリフの中に「朝刊」というワードが出てきました。
それは映画の冒頭、主人公の祖母の葬儀の場面。
「前の日の朝刊が取り込まれてなくて…それで見つかったんだって(大意)」
と、近所の人たちがひそひそ噂話をしている声が聞こえてきます。
いつ頃からでしょうか。一人暮らしの高齢者の異変を朝刊配達員が気付き、
その結果、危機的状況に陥っていた住人を救った、
あるいは、すんでのところで間に合わず残念な結果になってしまった…
というようなニュースをよく目にするようになったのは。
この映画では、観客がそんなニュースをよく見聞きしているという前提で、
「祖母は1人暮らし」で「いわゆる孤独死」だったことを説明するのに、
長い説明セリフや映像を用意せずに、「朝刊配達時に気付いた」
という情報だけで状況を推測させようとしているのでしょう。
ここ数年で定着した観客の共通認識をうまく利用した例だと思います。
ちなみに。
北日本新聞では、高齢者世帯を見守る「愛のひと声運動」を
平成14年(2002年)から20年近く続けています。
早朝の配達時間帯、暗がりの中をひとりで歩くお年寄りを見かければ声を掛け、
前日の新聞が取りこんでいない家があれば、日中に様子をうかがいに行く、
という取り組みです。
私自身もエリア担当をしていた頃、配達さんから
「△△町の〇〇さんのお宅、昨日の新聞取り込んでないがいけど大丈夫かねぇ?」
という相談を受けて、お家の様子を見に行くことがよくありました。
新聞が郵便受けに溜まっているとき、室内が真っ暗だったら
比較的、安心できるケース。
なぜなら配達一時休止の連絡をせずに外出されている場合が大半だから。
つまり、不在にしているので新聞が取り込んでなかっただけですね。
それよりも、室内の灯かりが一晩中点いているのに郵便受けに
新聞が残っているほうが、ドキッとします。
こちらは、何らかの事情で部屋の中で身体を動かせない状態に
陥っていることが推測できるからです。
とは言え、上に書いたようなことは、あくまで経験則。
不測の事態はいくらでもあります。
おひとりでお住まいの方や、高齢者のみの世帯の方は、
ぜひお近くの販売店やサービスセンターにお声がけください。
特に登録していただかなくても、新聞が毎日取り込まれているかどうか
気にかけているのですが、世帯状況や緊急時の連絡先を事前に伺っていれば、
より迅速に、スムーズな対応ができます。
朝刊の配達網は社会のセーフティーネットでもあります。
今や「見守り」は朝刊配達に付随する、普遍的なサービスとなりました。
お気軽に新聞販売店にご相談ください。
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